4.0
思いを馳せる
桃山から江戸初期の3人の名茶人の美意識を探る。千利休のわび・さびの美では、何といっても長次郎の《黒楽茶碗 銘俊寛》。平家物語の俊寛にちなんだ命銘というが、名の通り孤高を感じられる。古田織部の破格の美では、《大井戸茶碗 銘須弥》。《別銘十文字》のとおり、十文字に割って小さくしたものだという。小堀遠州の綺麗さびでは、《高取面取茶碗》の雅さ。これらはいずれもポスター・チラシを飾っているが、実物を見ると、それぞれの美意識とされるものになるほどと思わせる。このほかにも、茶碗、竹茶杓花入等の道具や自筆の消息(手紙)も多数。茶道具等を通じてそれぞれの美意識を知るわけだが、このような美意識から生まれた茶の湯とはどのようなものであったろうか、と思いを馳せる。奥深い展示である。