4.0
綺麗な実プリントにお目にかかることができました
ポートレートが良い。中でも一番のお気に入りは《大内和江(女優)1951年》。立ち止まり息をのむ。眼力、額のハイライトvs顎のシャドー、美しい曲線。やわらくてキレがある。《志賀直哉(作家)高畑町の自宅 東京1938年》超オーソドックスな3/4面像に滲む優しさ(&少しお茶目さ?)、実に良いですねえ。
昭和の時代、戦後~高度成長期の日本の情景のスナップ写真は真骨頂。この実物プリントが見たくてここに来ました。念願叶いました。
縦位置が好きです。人を撮るとき、略略ど真ん中配置なのですね。(ヒトはそもそも縦が合うということでしょうか)また、縦のラインが出る構造物等の映し込みも多数あり。一方で、横位置だと、人は小さく多数で。
クレヴィス社主催で同社のプリントを展示とのことですが、綺麗です。綺麗すぎ、くらいです。
部分的に特別展示として、1972年の銀座・新宿ニコンサロンで出展された中国の旅のオリジナルプリント(やや傷みも)もありましたが、これは更に素晴らしい。プリントのチカラなのか、伊兵衛60歳・70歳台のエネルギーの顕れなのか、被写体人物の表情は目が実に冴えている、動作がまさに動いています。
没後50年の特別展として、伊兵衛さんの名作を時代を通して沢山見ることができました。満足とともに心地よい疲労感で、余韻を楽しみます。