5.0
広がる雪舟ワールドを見せる構成が面白い!
「雪舟の国宝6点がそろう機会を見逃したくない!」というミーハーな気持ちで見に行きましたが、行って正解!
国宝・重文から伝まで、雪舟の作品だけでもお腹いっぱいなのに、その影響圏を面白い構成で見せてくれています。
「天橋立図」こちらは初めて知った国宝。よく見ると、寺社や島の名前が書き込まれていて、完全に旅行ガイド!あの風景を頭の中で再構築して描けるのがスゴイ。
「山水長巻」パネル展示のおかげで、初めて通しで見ることができました。この作品の良さは部分的に見ては伝わらないですね。山水画に描かれた人を探すのが好きなので、16メートルを十分楽しみました。
「梅潜寿老図」多くの画家が模倣している作品なので見るのを楽しみにしていたけど、茶色に変色していて、絵も色もほとんどわからない。辛うじて、笹の葉の緑が見える程度…、残念!
「四季花鳥図屏風」雪舟作は東博のやまと絵展に何度も通って見たので素晴らしいのは確認済み。雲谷等益の模倣の出来栄えはちょっと…。肝心の鶴はみすぼらしい姿になっているし、右隻の左下にあるはずの蓮と二羽の鳥はなくなっているし。雪舟作と並べて展示しなかったのは、比較されると可哀そうだから?
「富士三保清見寺図」一体、何点あるの?と思うくらい、同じテーマの作品を並べてました。模倣したくなる構図なんでしょうね。
「十六羅漢図」山口雪渓はまったく知らなかった画家で、絵柄を見ても雪舟の影響がわからない。どこ?と思ったら、「名前を一字もらいました」って。「自称・私淑の弟子」みたいな画家の作品まであり、雪舟ワールドがどこまでも広がっていました。個人的には羅漢図が好きだし、描き込みが多いのも好きだし、河鍋暁斎や現代作家の平良志季さんに通じる雰囲気があって、山口雪渓はお気に入りの画家になりました。
うれしかったのは曾我蕭白の「月夜山水図屛風」が見られたこと。最近買った蕭白展の図録(2005年・京博)にあり、気になっていた作品だったので、すぐに見る機会に恵まれてラッキーでした。
ちなみに、その図録の解説には「金泥の霞の表現のみなもとにいるのは岩佐又兵衛」とあるので、奇想の画家といえども、いろんな先達から学んでいるんだなぁと感心しました。