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はじめて知る画家「福田平八郎」のすごさ
写実を突き詰めると、その本質を見つめ、削ぎ落されて抽象になる。日本画、西洋画の違いを超え、この法則は普遍的な気がします。
葛飾北斎が大海原を見つめ、水しぶきを上げる大波をデフォルメした(本質を捉えた)ように、福田も水の表層を見つめ抜いた結果、生まれた「漣」の色、形、構図(トリミング)は計算し尽くした表現となっていることが分かりました。レオナルド・ダ・ヴィンチが水の流れ、動きを研究したように、画家が変幻自在に形を変える水に興味を持つ、ここにも1つの真理が隠れている気がします。
「安石榴」のキャプションを読んでいると、「榊原紫峰」の影響とあり、驚きました。私自身、「榊原紫峰」については、昨年10月に開催された京都国立近代美術館の京都画壇の青春展で「白梅」を初めて見て、そこで知り、心奪われた画家で、それ以外の作品をほとんど知らないものですから、影響ってどの辺?となりました。早速ネットで調べ、足立美術館の「青梅」という作品を見ると納得、陰影や鮮やかな色彩に共通性を感じました。
第2章写実の探求で「双鶴(大正12年)」と第3章鮮やかな転換で「双鶴(昭和10年)」をちょっと距離が離れていましたが、何度か往復して見比べてみました。写実の双鶴は、本当にうまくて、無背景に頭と足が大きく描かれ、安定感のある双鶴でした。一方、装飾の双鶴は足元の水辺が意匠的で鶴自体は一見写実的に見えましたが、写実の双鶴と比べるとやはり顔の表情が装飾的になっていることが分かりました。同じモチーフで比較するとより変遷が理解できました。
日本的なモチーフとして「花菖蒲」を繰り返し描かれており、装飾的な変遷を見ると、尾形光琳の「燕子花図屏風」の影響を考えてしまいます。花の形の中に型紙を使った装飾的な花びらはあるのかなと思い見ましたが、微妙に異なり1つとして同じ形はありませんでした(見逃しているだけかもしれないが)。
そもそも、「菖蒲」と「かきつばた」は似ているけど違う花だということを今回の学びではっきりしました。「あやめ」も含めて違いを検証すると、
【花びらの付け根】・あやめ:網目状 ・菖蒲:黄色 ・かきつばた:白い筋
【育つ場所】 ・あやめ:陸地 ・菖蒲:水辺 ・かきつばた:水の中
【開花時期】 ・あやめ:5月中-下旬・菖蒲:6-7月中旬・かきつばた:5月中旬
「… Read More