4.0
デコ表装好き・春画好きはぜひ!
美人画4割・春画6割の期待で見に行きましたが、思っていたより春画が少ない!
まずは別嬪さんたちの絵ですが、いろんなタイプの美人がいて面白かった。
特に面白かったのは「拳遊び図」美人といっても振袖に野郎帽子の女形で、振袖の柄が虫籠と馬!わざわざ女形にこの柄を着せた理由が気になりましたね(笑)
そして、思いがけず遭遇したデコレーション表装の数々。刺繍あり、絞りあり、凝り性の人たちが楽しみながら裂を選んでいたかと思うと、類友としてはうれしくなります。
数は少ないものの、春画は状態の良いものが多かったです。
北斎の「波千鳥」はみずみずしさを感じるくらい発色が綺麗だったし、鳥文斎栄之の「源氏物語春画巻」は存在自体を初めて知りましたが、春画にふさわしい題材で楽しく見ることができました。
鑑賞にあわせて「春画鑑賞の視角」という講演会を聞いたんですが、「掛軸や屏風に仕立てた春画はどんなシチュエーションで見られていたのか?」「春画の付文や書き入れを読むと一層面白さが増す」といった話が出てきて、絵の見方が広がりました。
中でも、喜多川歌麿の「深川の雪」と「階下の秘戯」は繋がっているんじゃないか説が面白かった。「深川の雪」は妓楼の二階が描かれているので女性しかいない。では、男性のいるところ(階段と一階)では「階下の秘戯」に描かれたようなことが起こっているのではないか、という試論だけど、見比べるとさもありなん。
「深川の雪」は「品川の月」「吉原の花」との三部作だけど、探せば裏の連作も出てくるんじゃないか、なんて想像しながら聞いていました。